ホルモン異常が高血圧の原因にもなる

高血圧の約90%が、原因が明らかではない本態性高血圧です。残りの約10%は、腎臓病やホルモン異常などが原因の二次性高血圧です。

ホルモン異常が原因の高血圧は、全高血圧の約1%程度だと考えられていました。
しかし、原発性アルドステロン症が、実は5~10%を占めていることが近年の研究で判ってきて、現在注目されています。

全高血圧の約5%ということは、実際には約225万人の原発性アルドステロン症の患者さんがいる計算になります。
しかし、2008年に日本で原発性アルドステロン症と診断された患者さんは、たったの1000人と推定されています。
この事から、多くの患者さんが見逃されて、本態性高血圧として治療されている可能性が高いと言えます。

原発性アルドステロン症は、副腎から分泌されるアルドステロンと言うホルモンが過剰に分泌されて、高血圧になる疾患です。
アルドステロンには、ナトリウムの再吸収を促進する作用があります。ナトリウムと水が体内に溜まるために、血液の循環量が増えて血圧が上がります。

血液検査をすると、アルドステロンが上昇してレニンと言うホルモンは低下しています。アルドステロン÷レニンが200以上になることで診断できます。
これ以外にもホルモン異常が高血圧の原因になる病気には、クッシング症候群があります。

クッシング症候群
副腎皮質から分泌されるコルチゾールが過剰になる病気です。
ムーンフェイスと言って満月のような真ん丸の顔になったり、手足は細いのに体の中心部分が太くなる中心性肥満になったり、高血圧などを来します。
40~50歳代の女性に多い傾向があります。
バセドウ病
バセドウ病は別名、甲状腺機能亢進症とも呼ばれている病気です。
男女比は女性が男性の約4倍で、20~40歳代の比較的若い女性に多く見られます。
バセドウ病は、甲状腺に対する自己免疫疾患だと考えられています。
本来はウイルスや細菌を攻撃するはずの免疫システムが、誤作動を起こして自分自身の体を攻撃するのが、自己免疫疾患です。
甲状腺を攻撃しているために、甲状腺ホルモンの分泌が過剰となり、甲状腺機能が亢進した状態になります。

甲状腺異常による高血圧の症状

二次性高血圧となる病気の1つにバセドウ病(甲状腺機能亢進症)があります。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンには、新陳代謝を高める作用があります。そのためバセドウ病になると、体はいつも走っているような状態になります。

循環機能が亢進して動悸や脈拍数の増加が起こります。消化器機能も更新するので軟便や下痢になることもあります。
また、食欲が増進してびっくりするくらい食べるのに、新陳代謝が激しいので体重は減って痩せてくる、といった状態になります。
凄く暑がりになってやたら汗を掻く、という訴えで病院を訪れる人もいます。
真冬の野外でシャツ1枚でじっとしていても大量の汗を掻いている、というケースも珍しくありません。

精神状態にも影響を及ぼし、イライラなどが起きることもあります。
また、せん妄といって、意識状態が混濁して興奮したり頭が混乱したりすることもあります。
ひどくなると、目が飛び出してくる眼球突出が起こります。目がやたら大きくなってくるので、明らかに異変だと気がつくでしょう。
また、甲状腺は喉仏の下に蝶々が羽を広げたような形で位置していますが、ここが腫れてきて病院を訪れる人も多いです。
その他、粘液水腫と言って足のすねがむくんで腫れることもあります。時にはゾウの足のようになることもあります。このむくみは、指で押しても指の跡が残らないタイプのむくみです。

血圧は、収縮期血圧(上の血圧)が上がりますが、拡張期血圧(下の血圧)は下がります。
そのため、血圧の上下の差が大きくなることも特徴の1つです。
上の血圧だけが高くなるので、血圧計が壊れているのだろうと思ったり、下の血圧は高くないのだから大丈夫だろうと思いがちですが、バセドウ病による高血圧の特徴だということを知っておくと良いでしょう。
きちんと減塩をしたり薬を飲んだりしているのに血圧が下がらない場合は、これらの病気の可能性も否定できません。
これらの体調不良に心当たりがある場合は、内分泌科の診察を受けてください。